REPORT

クリエイティブサロンMEET.にて準備中のオフグリッドカフェPHYSICAL。オフグリッドカフェにするからには電気は自分たちでつくらねば!しかしどうやってつくるのか知らない…。ということで、まずはソーラパネルとその仕組みについて学ぶべく、greenzの協力のもと、太陽光で集めた電気で映画の上映会を開催しました!!

会場は60名程度が座れるように、足場板をベンチに変える「ASHIBA LEG(仮)」をSCHOOL BUSのオキくんにお願いして作ってもらい、足りない分を即席で「使えるエコな脚」薪を使ってベンチでエコな構成。薪は山で切ってきたと言いたいところですが、そこはDIYヘタレ、ホーマックで買いましたw。

 神奈川、福岡で充電し、イベントの少し前から札幌で更に充電したソーラーパネルキットは、想像していたよりもかなりシンプル。これにLEDプロジェクターをつないで上映です。映画は約1時間、もつのか。

上映会の前にトーク!ゲストにはgreenz小野さん、暮らしかた冒険家&シャチョー、オフグリッドカフェPHYSCALのメンバーから、インテリアデザイナーの永井さんと、MEET.とCOMMUNE代表・クリエイティブ・ディレクターの上田。それぞれの活動の紹介や、エコやエネルギー、働き方、暮らし方などについて、笑いも交えながらのトーク。

これまでものすごい数の上映会を開催してきたgreenzの小野さんは、圧倒的な知識と経験を数字と分析を交えて教えてくれました。

暮らしかた冒険家の2人は、日々の生活がそのまま活動とも言える、リアルでエネルギッシュな彼らにしかできないこれまでについて語る。ジョニーさんの話にタイミング良く突っ込むサイコさんは、夫婦漫才のよう。

空間デザインの実績からかいま見える永井さんのDIY精神。DIYに関して自分が「ヘタレ」なのか、について盛り上がりました。

イベントスペースとしてのMEET.、そしてオフグリッドカフェPHYSICAL、どちらもCOMMUNEというデザインを生業にするということがベースにあって、成り立つことなんですが、「お金が無い」という状況が、知恵を働かせ、工夫して、何かを生み出すことにつながっていくし、それこそがDIYとも言えるのではないでしょうか。

今回の上映会も何のためにやるのか、と聞かれるとお金じゃないということだけは断言できます。しかし、続けていくための少しのお金や時間・労力は必要で、そのためには、それらをみんなでちょっとづつ学びながら共有していくことなのかなと。

もっともっと話したいことは尽きないのですが、お待ちかねの上映へ。映画はデンマークやオランダのクリーンエネルギーに関する「パワー・トゥ・ザ・ピープル~グローバルからローカルへ」。ソーラーの電気でソーラーの世界の現状を知ってもらうという上映会になりました。エネルギー革命と言われていて、世界中で自分たちで電気をつくる試みが盛り上がっています。みんな真剣に映画見てました。

映画では、自然エネルギーの取り組み以外にも、既存の保険システムではない支えあいの仕組みなどにも及びました。これまでの資本主義的な仕組みとは違う、小さな規模で共生していく仕組みづくりがいたるところで始まっていることがわかります。来てくれたお客さんは比較的興味を持っている人たちだと思いますが、問題意識や現状の社会やその仕組に対する違和感を持って、楽しんでまずはやってみるということで、先に進めるのかなぁとも思います。 

上映後は小野さんがさらに色々と教えてくれました。今回のソーラーパネルでどのくらいの電力をまかなえるのか、実際に家に設定してみたら何ができるのかなど。そして、エネルギーの問題は、選べないこと。電力を選ぶ選択肢があるということが重要だと。すべてを自分でということはすぐには難しいですが、ちょっとづつやってみようという気持ちにみんななったのではないでしょうか。PHYSICALでのオフグリッドの実験は、電気だけでなく、暖房を薪ストーブにすることや照明を廃油から作ったろうそくでまかなうことなど、まだまだ続きます。

上映後は、PHYSICALメンバーで言い出しっぺでもあるKitchen Nestの岩田さんの自然をテーマにした料理をみんなで食べながら、交流会。それぞれがいろんな思いや意見を交換して、ここから新しい何かが始まるきっかけになるでしょう。

お金があれば何でも手に入る時代に、そもそもなんかおかしいんじゃないかという気持ちに気づいたことで、自分でやってみることにつながって、最終的にそれが「お金がってこんなに豊かなのか」という実感に変わってきています。お金がないながら動き出したMEET.とPHYSICAL、この上映会も継続して、みんなで学んで、みんなで実践。次はソーラーパネルシステムを自分たちで作るワークショップを開催します。DIYのワクワクは続く。
 

Text:上田亮[COMMUNE]
Photo:塚野大介[COMMUNE]

 

GUEST

小野裕之 [greenz.jp 副編集長/NPO法人グリーンズ理事]

84年、岡山県生まれ。中央大学総合政策学部在学中に出会った“Sustainable Living”の考え方と、それを教えてくれた恩師に感銘を受ける。卒業後、ベンチャー企業にて新規事業の開発や大手企業のWebプロモーションの企画制作を行い、09年より、あなたの暮らしと世界を変えるグッドアイデア厳選マガジン「greenz.jp」に参加。11年、副編集長に。12年にはgreenz.jpのNPO法人化にともない理事就任。編集・企画のほか、事業開発やパートナー企業とのコラボレーション業務など、ビジネス面を担当。


池田秀紀+伊藤菜衣子[暮らしかた冒険家

「高品質低空飛行生活」をモットーに結婚式や新婚旅行、住居などの「これからのあたりまえ」を模索中。 100万人のキャンドルナイト、坂本龍一のソーシャルプロジェクトなどのムーブメントのためのウェブサイトやメインビジュアルの制作、ソーシャルメディアを使った広告展開などを手がける。札幌国際芸術祭2014への参加をきっかけに札幌市西区福井でオフグリッドな暮らしを目論見中。生まれたばかりの息子も加わり、あらたな冒険がはじまっている。 


永井準平[FUZ design代表/インテリアデザイナー]

札幌市内のアトリエ系設計事務所勤務の後、組織系事務所での設計業務などを経験し、FUZ designとして活動開始。主に医療施設や福祉施設、集合住宅の設計に多く携わりながら、現在は、飲食店や宿泊施設の設計や家具デザインなども手掛ける。独立後の近作は「洋風食堂RepasNio」、「日本料理 こまつ」、「SIAF CAFE」(atelier YORMAとの共同設計・製作)、「UNTAPPED HOSTEL」(takagi atelier,atelier YORMAとの共同設計・製作)。現在、MEET.内のカフェ計画にも家具設計や空間ディレクションとして参加・製作に携わる。


上田亮 [COMMUNE・MEET.代表/CREATIVE DIRECTOR]

札幌・東京・ストックホルムを拠点に、デザインやブランディング、プロデュースを行う。また、出会いをテーマにしたクリエイティブ・サロン「MEET.」を運営し、イベントやエキシビジョンなど、様々なプロジェクトをオーガナイズ。2012年より、1年のうち1ヶ月をスウェーデンで暮らすプロジェクトを開始、2014年には、札幌国際芸術祭にて本の交換プロジェクト「BLIND BOOK MARKET」を開催、現在はアイデアや技術を提供し合うことでつくり上げ、エネルギーを自作し運営するOFF-GRID CAFE 「PHYSICAL(仮)」をMEET.内にて計画するなど活動の幅を広げている。

定員:50名
参加費:一般:2,000円(1ドリンク+軽食付き)
FOOD:Kitchen Nest